一級建築士 学科の合格基準点|令和8年は94点・過去5年の推移と決まり方

一級建築士 学科の合格基準点

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はじめに

自己採点で90点。

この数字を出したあと、手が止まった経験はありませんか。

「去年は88点だったから、たぶん大丈夫」
「いや、今年は簡単だったって聞くし、上がるかも」

発表まで1ヶ月以上、この計算を何度も繰り返すことになります。私も同じでした。掲示板を開いては閉じ、予備校の速報を見比べ、それでも確信は持てませんでした。

この記事では、合格基準点がどういう仕組みで決まっているのかを、JAEIC(建築技術教育普及センター)が公表している一次データだけを使って整理します。

推測や噂ではなく、公式文書に書かれていることだけを扱います。読み終わったあと、自分の点数が今どのあたりにあるのかを、根拠を持って判断できる状態を目指します。

そもそも合格基準点とは

一級建築士試験の学科は、5科目・125点満点です。配点は科目ごとに違います。

科目 満点
学科Ⅰ(計画) 20点
学科Ⅱ(環境・設備) 20点
学科Ⅲ(法規) 30点
学科Ⅳ(構造) 30点
学科Ⅴ(施工) 25点
合計 125点

合格するには、総得点の基準点と、5科目それぞれの基準点を「すべて」超える必要があります

これが重要です。総得点が基準点を大きく上回っていても、1科目でも科目基準点に届かなければ不合格になります。いわゆる「足切り」です。

法規は30点満点で、構造と並んで配点が最も大きい科目です。ここを固めることが総得点に直結する理由がここにあります。

過去5年の推移

JAEICが毎年公表している「合格基準点等について」から、実際の数値を並べます。

年度 計画 環境・設備 法規 構造 施工 総得点
令和3年 10 11 16 16 13 87
令和4年 11 11 16 16 13 91
令和5年 11 11 16 16 13 88
令和6年 11 11 16 16 13 92
令和7年 11 11 16 16 13 88

総得点は87点から92点まで、5点の幅で動いています

一方で、科目別の基準点に注目してください。法規は5年連続で16点。構造も16点、施工も13点で固定されています。動いたのは令和3年の計画(10点)だけです。

つまり、変動しているのは主に総得点のほうです。科目基準点は「満点の過半」という原則からほとんどブレません。

なぜ毎年変わるのか

JAEICは合格基準点の公表文書に、毎年ほぼ同じ一文を添えています。

各科目は過半の得点、総得点は概ね90点程度を基本的な水準として想定している

つまり、基準は最初から「90点程度」と決まっているのです。そこから、その年の難易度に応じて上下に補正されます。

実際に、合格率と基準点を並べると関係がはっきり見えます。

年度 学科受験者数 学科合格率 総得点基準点
令和3年 31,696人 15.2% 87点
令和4年 30,007人 21.0% 91点
令和5年 28,118人 16.2% 88点
令和6年 28,067人 23.3% 92点
令和7年 27,489人 16.5% 88点

合格率が20%を超えた年(令和4年・令和6年)は、基準点が91点・92点に上がっています。

逆に合格率が15〜16%台だった年(令和3年・令和5年・令和7年)は、87点・88点に下がっています。

令和6年の公表文書には「総じて難度が低かったことから」と補正の理由が明記されました。令和7年は逆に「難度が高かった」ため88点に下げられています。

ここから読み取れることは、次の一点に尽きます。

試験が簡単だった年は、基準点が上がる。

「今年は簡単だった」という手応えは、喜ぶ材料であると同時に、ボーダーが上がる材料でもあるということです。

自己採点の点数をどう読むか

過去5年のレンジ(87〜92点)を踏まえると、目安はこう整理できます。

  • 95点以上 — 過去5年の最高値(92点)を上回っており、比較的余裕のある位置
  • 90〜94点 — 基準点が上振れした年(91点・92点)でも届く可能性がある位置
  • 87〜89点 — 難化した年なら届くが、易化した年は厳しい、最も判断が割れる位置
  • 86点以下 — 過去5年の最低値を下回っており、厳しい位置

ただしこれはあくまで過去の傾向であり、合否を保証するものではありません。基準点は毎年その年のデータに基づいて決定されます。

そして忘れてはいけないのが科目基準点です。総得点が95点あっても、計画が10点なら不合格になります。自己採点では総得点だけでなく、5科目すべてを個別に確認してください。

自己採点の具体的な手順と今年の速報値については、一級建築士 学科試験の合格基準点2026|94点・合格率26.2%【令和8年確定】にまとめています。

令和8年(2026年)の結果【確定】

令和8年 学科試験 合格基準点

総得点 94点/125点
計画11・環境設備11・法規16・構造16・施工13
合格率 26.2%(前年16.5%)/受験29,094人・合格7,619人
2026年9月2日 建築技術教育普及センター発表

令和8年の学科試験は7月26日に実施され、正答肢は翌7月27日に公表。9月2日(水)に合格発表が行われ、総得点の合格基準点は94点に確定しました。

注目すべきは、当初示されていた「概ね90点程度」から94点へ上方補正されたことです。この記事で見てきたとおり、易化した年は基準点が上がる——その傾向がそのまま現れました。

予備校3社の講評は事前に全社「易化」で一致しており、推定合格ラインも例年より高めに置かれていました。結果として、TACの推定94点が的中しています。

合格率26.2%は近年で突出して高い

合格率は前年の16.5%から26.2%へ大きく上昇し、合格者数も4,529人から7,619人へと3,000人以上増えました。

ただし、ここを取り違えないでください。合格しやすい年=低い点数で受かる年、ではありません。試験が易しければ受験者全体の得点が上がり、それに応じて基準点も引き上げられます。今年は基準点が94点まで上がったうえで、なお合格率が高かった——つまり「多くの人が高得点を取った年」だったということです。

「例年は88点前後だから、90点あれば安心」という読み方が通用しなかった年でもあります。過去の基準点はあくまで目安であり、その年の難易度で数点は動くと考えておくべきです。

科目別の基準点は今年も変わらなかった

計画11・環境設備11・法規16・構造16・施工13という科目別の基準点は、令和4年以降変動していません(令和3年は計画が10点、令和2年は環境・設備が10点だった)。総得点のボーダーが動いても、足切りのラインは動かないという構図が今年も維持されました。

今年のように総得点の基準が高い年は、総合点は94点を超えていたのに1科目の足切りで不合格というケースが出やすくなります。自己採点では必ず科目別の点数も確認してください。

発表後にやること

合格発表は9月2日に終わり、製図試験(10月11日)までは1か月あまりです。

自己採点で合格圏内にいるなら、製図試験の準備を始めるのが最も合理的です。学科の合格発表から製図試験(10月11日)までは、わずか39日しかありません。発表を待ってから動き出すと、この39日で全てを詰め込むことになります。

判断が割れる位置にいる場合も、考え方は同じです。製図の準備をして合格していれば39日を丸ごと使えますし、不合格だったとしても、製図の全体像を知っておくことは来年の学習計画に確実に活きます。

発表までの具体的な過ごし方は、一級建築士 学科合格発表までの過ごし方|8月〜9月にやるべきことで詳しく扱っています。

社会人受験生へ

働きながら受験している場合、この時期の判断はさらに難しくなります。製図の準備を始めるには、まとまった時間の確保が必要だからです。

現実的な進め方として、発表までの期間は「知識のインプット」に絞る方法があります。エスキスの練習や作図の反復は時間の塊を必要としますが、課題文の読み方や採点基準の理解は、通勤時間や昼休みでも進められます。

道具を揃えておくことも、発表後のスタートダッシュに効きます。製図用具は種類が多く、選ぶだけで数日を消費しかねません。

まとめ

  • 学科は125点満点。総得点と5科目すべての基準点を超える必要がある
  • 令和3〜7年の総得点基準点は87点〜92点。令和8年はこれを上回る94点だった
  • 科目基準点はほぼ固定(法規は5年連続16点)。変動するのは主に総得点
  • JAEICは「総得点は概ね90点程度」を基本水準と明記しており、そこから難易度に応じて補正される
  • 合格率が高い(易化した)年ほど基準点は上がる
  • 令和8年は3社とも「易化」の講評。結果も94点・合格率26.2%で、易化年らしく上方補正された
  • 判断が割れる位置なら、製図の準備を進めておくのが合理的

基準点がどう決まるかを知っておけば、来年の得点計画も「何点取れば安全か」ではなく「難易度が振れても届く水準はどこか」で組めるようになります。

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