法令集の線引きルール|合格者が使う正しい3つの方法

法令集の線引きルール|合格者が使う正しい3つの方法

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はじめに|あなたの線引き、実は逆効果かもしれない

法令集を開いたとき、こんな経験はないでしょうか。

「とりあえず全部に線を引いたら、どこが重要かわからなくなった」

「蛍光ペンで塗りすぎて、試験中にページが真っ黄色で目が痛い」

「他の受験生の法令集を見たら、自分のより全然スッキリしていた……」

社会人受験生にとって、法令集の線引きは「最初の壁」です。勉強時間が限られている中で、週末にカフェや図書館で法令集を広げ、ひたすら蛍光ペンを走らせる。その努力は本物です。

でも、正直に言います。

線引きの方法を間違えると、100時間勉強しても法規は伸びません。

なぜなら、法令集の線引きは「暗記の補助ツール」ではなく、「条文を読む速度と正確さを上げるツール」だからです。目的を誤ったまま時間をかけても、試験本番で効果は出ません。

この記事では、合格者が実践している線引きの本質的な3つのルールを、「なぜそうするのか」という理由ごと解説します。これを読み終えたとき、法令集の使い方が根本から変わるはずです。


法令集の線引きが重要な理由|本質から考える

法規科目の特殊性を理解する

一級建築士試験の法規は、他の科目と根本的に性格が違います。

構造や環境設備は「知識を頭に入れて使う」科目です。しかし法規は、「法令集という外部記憶を、いかに高速・正確に引けるか」を競う科目です。

試験時間は1科目あたり125分、問題数は30問。単純計算で1問あたり約4分。しかし難問になると条文を3〜4箇所参照する必要があるため、実質1条文あたり1分以内で探して読んで判断しなければなりません。

この制約の中で、線引きには2つの役割があります。

  1. 重要なワードの視認性を上げる(重要な数字・語句を即座に見つけられる)
  2. 条文の構造を視覚化する(「このただし書きはどこまで続くか」が一目でわかる)

逆に言えば、この2つを達成できない線引きは、どれだけ時間をかけても意味がありません。

「合格者の法令集」に共通するたった1つの特徴

合格者の法令集を10冊以上見てきた経験から言うと、スッキリした線引きとごちゃごちゃした線引きの違いは「色の数」ではありません。

「条文の構造が見える」かどうかです。

建築基準法の条文は、本文・ただし書き・括弧書き・号・イロハが入り組んだ複雑な構造をしています。この構造が視覚的に整理されていると、試験中に「この条件はどこに係るか」が瞬時にわかります。

これが線引きの本質です。次のセクションから、具体的な3つのルールを見ていきましょう。


合格者が使う2つの線引きルール

ルール1:条文の構造を理解してから線を引く

「読む前に引くな」が大原則

多くの受験生が犯す最大のミスは、条文を読んでいない段階で線を引き始めることです。

資格学校の法令集には「線引き見本」が付属していることがあります。また、法令集メーカーが主催する「線引き講習会」も存在します。これらを使って機械的に線を引いていくと、確かに法令集は色鮮やかになります。

しかし、「なぜここに線が引かれているか」を理解していない線引きは、試験本番で役に立ちません。

条文構造の3階層を把握する

建築基準法の条文は、大きく3つの階層で構成されています。

第1層:本文(原則)
「〜しなければならない」「〜できる」という基本ルールが書かれています。

第2層:ただし書き・項(例外・条件)
「ただし、〜の場合はこの限りでない」など、本文の原則に対する例外が書かれています。

第3層:号・括弧書き(定義・列挙)
具体的な数値、用語の定義、適用対象の列挙などが書かれています。

実践:構造把握のための「素読み」を必ずやる

線引き前に、該当条文を何も書き込まずに1回通読することをお勧めします。素読みを1回するのにかかる時間は1条文あたり2〜3分。建築基準法の主要条文を50条読んでも2〜3時間です。


ルール2:色分けは「意味」で決める(色数は赤・青+蛍光ペン)

推奨する色体系

用途 具体例
赤(下線) 条文の骨組み部分 〇〇は××しなければならない。
青(下線) ただし書き・例外の起点 「ただし」「〜の場合においては」
蛍光ペン(色分け可)
※単語のみ
定義・用語・適用対象 「特定行政庁(黄)」「都道府県知事(緑)」
「不燃材料(ピンク)」「準不燃材料(オレンジ)」
「基準法内で初定義のワード(水色)」

具体例と解説

(屋根)
第二十二条 特定行政庁防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域内にある建築物の屋根の構造は、通常の火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、茶室、あずまやその他これらに類する建築物又は延べ面積が十平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類する建築物の屋根の延焼のおそれのある部分以外の部分については、この限りでない。

■ 赤の下線 = 条文の骨格(本文の要旨)
■ 蛍光ペン = 重要な用語・定義
■ 青の下線 = ただし書き・例外規定

ステップ1:条文の骨組み(赤線部)だけを読む

まず条文の骨組みとなる赤線部のみを読んでみましょう。

特定行政庁が指定する区域内にある建築物の屋根の構造は、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

最初は「ある地域にある屋根はA or B の構造としなければならない」程度の認識でOKです。

ステップ2:修飾情報を追加していく

この文章の根幹を把握した上で、追加の情報を修飾していく。

Q. どんな区域か?
→ 防火地域及び準防火地域以外の市街地

Q. ただし書きなどの適用除外はあるか?
ただし、茶室、あずまやその他これらに類する建築物又は延べ面積が十平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類する建築物の屋根の延焼のおそれのある部分以外の部分については、この限りでない。

このように骨組みと修飾部分を分けていくと普段のとてつもなく長い条文も理解しやすい文章に変わります。

補足:蛍光ペン(マーカー)が必要な理由

補足情報として、法文を理解する部分については赤線と青線だけOKです。
しかし、試験では以下のような意地悪問題が出てきます。

  1. 主語が特定行政庁 or 都道府県知事を問う問題。
  2. 建築基準法第2条「用語の定義」に載っていない条文内で初めて定義されるワードについて問題(例:令112条1項の特定防火設備など)
  3. 不燃、準不燃や屋内の火災、屋外の火災などといった細かい違いを問う問題

当然しっかり読めば落とすことがないのですが、時間に追われる中では間違う可能性がすごい高いです。
そこで、上記のような対策としてマーカーによる色分けをすることを推奨しています。

色分けはなんでも良くて、例えば私は不燃、耐火系はピンク、準不燃、準防火系はオレンジといった燃えやすさのイメージでつけています。ここの色分けは問題を解いていかないとわからないので、後回しでOKです。

大事なのはどの色を使うかではなく、なぜその色をつけたかなので自分オリジナルの法令集を作り上げましょう。


よくある失敗パターン3つ

失敗1:線引きを完璧に仕上げることが目的になる

線引きの初期投資は2週間以内に終えることを目標にしてください。後日問題を解いていく上で完成させていけばOK。

失敗2:条文の全文にマーカーを引く

1ページあたりのマーカー量は条文にもよりますが、全体の20〜50%程度に抑えることを意識してください。

失敗3:試験会場で初めて「自分の法令集を使う」

練習問題を解くときから本番と同じ法令集を使うのが鉄則です。


社会人向け|限られた時間での線引き攻略法

推奨スケジュール

期間 内容 1日の時間
1〜2週目 建築基準法(法律編)の主要条文 30〜45分
3〜4週目 建築基準法施行令(政令編)の主要条文 30〜45分
5週目以降 使いながら随時改善 演習の中で

合格者の平均的な線引き時間は、20〜40時間程度です。


まとめ|法令集は「育てるツール」

ルール1:条文の構造を理解してから線を引く
→ 素読みで本文・ただし書き・数値の位置を確認してから線引き開始

ルール2:色分けは「意味」で決める(3色まで)
→ 赤=数値、青=ただし書き・例外、蛍光ペン(色分け)=定義・用語


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この記事は2026年3月時点の情報をもとに執筆しています。試験の最新情報は、公益財団法人建築技術教育普及センターの公式サイトでご確認ください。

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