耐火建築物・準耐火建築物の違いと用途による建築義務|一級建築士試験対策

耐火建築物・準耐火建築物の違いと用途による建築義務|一級建築士試験対策

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この記事でわかること

  • 耐火建築物: 主要構造部が耐火構造 + 延焼部分に防火設備
  • 準耐火建築物: イ準耐(準耐火構造)とロ準耐(技術基準適合)
  • 法27条+別表第一で用途×規模から建築義務を判定
  • 防火地域: 3階以上 or 100㎡超 → 耐火建築物

はじめに:「耐火」「準耐火」の混同が試験で命取りになる理由

耐火建築物と準耐火建築物の区別は、法規の中でも最も「うっかりミス」が多いテーマです。「耐火」「準耐火」「耐火構造」「準耐火構造」「防火構造」と似た言葉が並び、どれがどれだか混乱します。

法規の勉強を進めていくと、「耐火建築物」「準耐火建築物」「耐火構造」「準耐火構造」「防火構造」という言葉が次々と登場します。「なんとなく耐火の方が厳しいんでしょ」という理解のまま進んでしまうと、試験本番で痛い目に遭います。

なぜなら、一級建築士試験の法規では「この建築物は耐火建築物でなければならないか、準耐火建築物でよいか」という判断を問う問題が繰り返し出題されるからです。しかも選択肢は非常に細かく、「3階建て以上か2階建てか」「面積が200㎡超か以下か」「特殊建築物の用途は何か」という条件の組み合わせで正誤が変わります。

「耐火も準耐火も似たようなもの」という認識のまま臨むと、条件の微妙な差を見抜けずに失点します。逆に言えば、この部分を正確に整理しておくだけで、法規の得点が安定してきます。

この記事では、耐火建築物と準耐火建築物の定義・性能の違いから、用途・規模による建築義務(法第27条・別表第一)、防火地域との関係まで、試験に必要な情報を網羅的に整理します。社会人受験生が限られた時間で効率よく理解できるよう、表を多用して解説していきます。


耐火建築物・準耐火建築物の定義(建基法2条9号の2・9号の3)

耐火建築物とは(法第2条第9号の2)

建築基準法第2条第9号の2に、耐火建築物の定義が規定されています。要件は大きく2つです。

要件①:主要構造部が耐火構造であること

柱・梁・壁・床・屋根・階段といった主要構造部のすべてが、耐火構造(令第107条に定める耐火性能を有する構造)でなければなりません。

要件②:外壁の開口部に防火設備が設けられていること

延焼のおそれのある部分(法第2条第6号:隣地境界線等から1階は3m以内、2階以上は5m以内の部分)にある開口部に、防火設備(法第2条第9号の2ロ、令第109条)が必要です。

この2つの要件を両方満たすものが耐火建築物です。「主要構造部が耐火構造」という部分だけ覚えて開口部の条件を忘れる受験生が多いので、必ずセットで押さえましょう。


準耐火建築物とは(法第2条第9号の3)

建築基準法第2条第9号の3に規定されているのが準耐火建築物です。準耐火建築物は、耐火建築物よりも若干性能が低い建築物を指しますが、その中に「イ準耐火建築物」「ロ準耐火建築物」の2種類があります。

イ準耐火建築物(法第2条第9号の3イ)

主要構造部を準耐火構造(令第107条の2に定める準耐火性能を有する構造)とし、かつ外壁の開口部(延焼のおそれのある部分)に防火設備を設けたものです。

耐火建築物との違いは、主要構造部に要求される性能レベルが「耐火構造」か「準耐火構造」かという点です。準耐火構造は耐火構造よりも要求される耐火時間が短い構造です(詳細は後述の比較表を参照)。

ロ準耐火建築物(法第2条第9号の3ロ)

ロ準耐火建築物は、主要構造部が準耐火構造ではないものの、外壁を防火構造とするなどの技術基準(令第136条の2)に適合することで認められる準耐火建築物です。

イ準耐火よりもさらに性能レベルが低く、木造の戸建て住宅などが該当するケースが多いです。省令準耐火構造(住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく)もロ準耐火建築物の一類型です。

区分 根拠条文 主要構造部の性能 開口部の設備
耐火建築物 法第2条第9号の2 耐火構造(全部位) 防火設備(延焼のおそれのある部分)
イ準耐火建築物 法第2条第9号の3イ 準耐火構造 防火設備(延焼のおそれのある部分)
ロ準耐火建築物 法第2条第9号の3ロ 技術基準適合(令第136条の2) 防火設備(延焼のおそれのある部分)

耐火性能の比較表(耐火構造・準耐火構造・防火構造の違い)

耐火建築物・準耐火建築物を理解するうえで、まず「構造の性能レベル」を比較しておくことが重要です。

耐火建築物・準耐火建築物・その他の耐火性能を時間軸で比較

構造の種類 根拠条文 概要 主な耐火時間(柱の例)
耐火構造 令第107条 通常の火災が終了するまでの間、建築物の倒壊・延焼を防止するために必要な性能を有する構造 3階建て以上:3時間、2階以下:2時間(用途・規模による)
準耐火構造 令第107条の2 通常の火災による延焼を抑制するために必要な性能を有する構造 45分間(令第107条の2第1号)
防火構造 令第108条 建築物の周囲において発生する通常の火災時における火熱に一定時間耐える外壁・軒裏の構造 30分間(外壁・軒裏のみ対象)

重要なポイント:防火構造は「外壁・軒裏のみ」が対象

防火構造は外壁・軒裏の性能要件であり、耐火構造・準耐火構造のように柱・梁・床・屋根・階段を含む「主要構造部全体」の性能ではありません。したがって、防火構造の建築物は耐火建築物でも準耐火建築物でもありません。この違いを試験でよく問われます。

比較項目 耐火構造 準耐火構造 防火構造
対象部位 主要構造部全体(柱・梁・壁・床・屋根・階段) 主要構造部全体 外壁・軒裏のみ
要求される耐火性能 高い(時間が長い) 中程度(45分等) 低い(30分)
適用される建築物 耐火建築物 準耐火建築物(イ準耐) 準防火地域の外壁等
性能の位置づけ 最上位 中位 下位(部位限定)

用途・規模による建築義務(建基法27条・別表第一)

建築基準法第27条とは

法第27条は、「特殊建築物」のうち一定の用途・規模の建築物について、耐火建築物または準耐火建築物とすることを義務付ける条文です。

特殊建築物(法第2条第2号)とは、学校・体育館・病院・劇場・旅館・百貨店・共同住宅・飲食店・倉庫など、多数の人が利用したり火災リスクが高い用途の建築物のことを指します。

別表第一による整理

法第27条の要件は、別表第一(い欄・ろ欄・は欄)と組み合わせて理解する必要があります。

  • い欄:用途の区分
  • ろ欄:階数・面積による適用要件
  • は欄:要求される性能(耐火建築物・準耐火建築物等)

以下に、試験でよく出る用途別の義務要件を整理します。

主な特殊建築物の建築義務(法第27条・別表第一)

用途 要件となる規模・階数 必要な建築物の種類
劇場・映画館・集会場・観覧場 客席の床面積が200㎡以上 耐火建築物
病院・診療所(患者の収容施設あり)・ホテル・旅館・下宿・共同住宅・寄宿舎 3階以上の階に存する場合 耐火建築物
学校・体育館・博物館・美術館・図書館・ボーリング場・スキー場・スケート場・水泳場・スポーツ練習場 3階以上かつ用途部分の床面積合計が2,000㎡以上 耐火建築物
百貨店・マーケット・展示場・ダンスホール・遊技場・公衆浴場・待合・料理店・飲食店・物品販売業を営む店舗(床面積10㎡超) 3階以上かつ用途部分の床面積合計が3,000㎡以上 耐火建築物
倉庫 用途部分の床面積合計が200㎡以上 耐火建築物
自動車車庫・自動車修理工場 用途部分の床面積合計が150㎡以上 耐火建築物

※上記の表は試験対策として主な要件を整理したものです。実際の適用判断では、条文および別表第一の最新の内容を法令集で確認してください。

具体例で確認する

例1:病院(患者収容施設あり)の場合

3階建て以上に病院が存在する場合 → 耐火建築物が必要(別表第一に基づく法第27条第1項)

例2:共同住宅の場合

  • 3階以上の階を共同住宅の用途に供する場合 → 耐火建築物が必要
  • 2階以下で面積が一定規模以下 → 耐火建築物の義務なし(ただし防火地域等の規制は別途適用)

例3:ホテルの場合

3階以上にホテルの客室がある場合 → 耐火建築物が必要

例4:百貨店・マーケットの場合

3階以上で用途部分の床面積合計が3,000㎡以上の場合 → 耐火建築物が必要
2階で床面積合計が3,000㎡以上の場合 → 法第27条による耐火建築物の義務は生じない(ただし規模が大きい場合は別途規定あり)


防火地域・準防火地域との関係(建基法61条・62条)

法第27条は「用途・規模」に着目した規定ですが、防火地域・準防火地域に関する法第61条・第62条は「建築物が建つ地域」に着目した規定です。この2つの規制は独立して適用され、いずれか厳しい方の要件を満たさなければなりません。

防火地域(法第61条)

防火地域は、市街地の中心部など特に火災リスクが高い地域に指定される地域です。防火地域内では、原則として建築物を耐火建築物または延焼防止建築物としなければなりません。

条件 必要な建築物の種類
階数3以上、または延べ面積100㎡超 耐火建築物(または延焼防止建築物)
階数2以下かつ延べ面積100㎡以下 耐火建築物または準耐火建築物(または延焼防止建築物・準延焼防止建築物)

ポイント:防火地域では基本的に「耐火建築物」

防火地域内に建てる建築物は、規模によらず耐火建築物(または延焼防止建築物)が原則です。これが「防火地域=耐火建築物」という試験の基本イメージにつながります。

準防火地域(法第61条)

準防火地域は防火地域よりも一段階緩い規制地域です。規模によって耐火建築物・準耐火建築物・防火構造などの要件が変わります。

条件 必要な建築物の種類
階数4以上、または延べ面積1,500㎡超 耐火建築物(または延焼防止建築物)
階数3、または延べ面積500㎡超〜1,500㎡以下 準耐火建築物以上(または準延焼防止建築物以上)
階数2以下かつ延べ面積500㎡以下 外壁・軒裏を防火構造(または技術基準適合)

ポイント:準防火地域では「規模によって耐火・準耐火・防火構造」が変わる

準防火地域の規制は規模によって3段階に分かれます。「4階建て以上か」「3階建てか」「2階建て以下か」という階数の区切りと、「1,500㎡超か」「500㎡超〜1,500㎡以下か」「500㎡以下か」という面積の区切りを組み合わせて判断します。

防火地域・準防火地域の比較まとめ

地域 大規模(階数・面積大) 中規模 小規模(階数・面積小)
防火地域 耐火建築物 耐火建築物または準耐火建築物 (上記参照)
準防火地域 耐火建築物(4階以上・1,500㎡超) 準耐火建築物以上(3階・500〜1,500㎡) 防火構造(2階以下・500㎡以下)

試験頻出の誤り選択肢パターン

パターン1:耐火建築物の要件を「主要構造部が耐火構造」だけと思い込む

耐火建築物の要件は「主要構造部が耐火構造」+「延焼のおそれのある部分の開口部に防火設備」の2つです。開口部の防火設備を忘れる受験生が多いので要注意。

誤りやすい選択肢の例:
「耐火建築物とは、主要構造部が耐火構造であれば足り、外壁の開口部については制限を受けない。」
×(延焼のおそれのある部分の開口部に防火設備が必要)


パターン2:イ準耐とロ準耐の区別を曖昧にする

「準耐火建築物」とひとまとめに捉えず、「イ準耐は主要構造部が準耐火構造」「ロ準耐は令第136条の2の技術基準に適合するもの」という違いを正確に押さえておくことが必要です。

誤りやすい選択肢の例:
「準耐火建築物は、いずれの場合も主要構造部を準耐火構造としなければならない。」
×(ロ準耐はその限りでない)


パターン3:防火構造を「準耐火建築物の主要構造部の性能」と混同する

防火構造は外壁・軒裏のみを対象とする構造であり、主要構造部全体を規定するものではありません。「防火構造の建築物=準耐火建築物」とはなりません。

誤りやすい選択肢の例:
「準防火地域内の延べ面積300㎡の2階建て建築物は、準耐火建築物としなければならない。」
×(2階以下・500㎡以下の場合、外壁・軒裏を防火構造とすれば足りる)


パターン4:法第27条の適用要件(階数・面積)の組み合わせを誤る

病院・ホテル・共同住宅などは「3階以上の階に存する場合」に耐火建築物が必要ですが、百貨店・マーケットなどは「3階以上かつ床面積3,000㎡以上」という面積条件も重なります。用途によって要件が異なることを法令集の別表第一で確認しておきましょう。

誤りやすい選択肢の例:
「床面積の合計が2,000㎡の百貨店は、その用途に供する部分が2階建てであれば耐火建築物としなくてよい。」
○(3階以上かつ3,000㎡以上という条件を満たさない) ……実は正しい選択肢だが、「面積が大きいから耐火建築物が必要」と誤判断するパターンが多い


パターン5:防火地域・準防火地域の適用を混同する

「準防火地域でも4階建て以上なら耐火建築物」という点を忘れ、「準防火地域=準耐火建築物」と覚えてしまう受験生がいます。準防火地域でも規模によっては耐火建築物が求められることを必ず確認しましょう。

誤りやすい選択肢の例:
「準防火地域内の建築物は、準耐火建築物とすれば足りる。」
×(階数4以上または延べ面積1,500㎡超の場合は耐火建築物が必要)


パターン6:「準耐火建築物でよい」か「耐火建築物が必要」かの判断を誤る

防火地域・準防火地域の規制と、法第27条の用途・規模規制が重なった場合、双方を確認してより厳しい方の要件を適用します。「法第27条では準耐火建築物で足りるが、防火地域内だから耐火建築物が必要」というケースを見落とさないよう注意しましょう。


社会人向け覚え方のコツ

「耐火は全部、準耐火は骨格」

耐火建築物の主要構造部(耐火構造)は、柱・梁・壁・床・屋根・階段のすべてを高い性能で守ります。一方、準耐火建築物(特にロ準耐)は「骨格となる外壁を防火構造にする」程度で認められるケースがあります。「耐火は全部カバー、準耐火は最低限の骨格」というイメージが整理の助けになります。

「防火地域=大都市の中心部=全部厳しく」

防火地域は繁華街・駅前など、万一の火災で大被害になる場所です。そのイメージと紐づけて「防火地域=耐火建築物(原則)」と覚えると忘れにくいです。

「準防火地域は3段階のハシゴ」

準防火地域の規制は、「4階以上・大面積→耐火」「3階・中面積→準耐火」「2階以下・小面積→防火構造」という3段階のハシゴ構造になっています。「階が高いほど・面積が大きいほど厳しい」という方向性は直感的に覚えやすいです。

「法27条はイメージで固めて、別表第一で確認」

法第27条の要件は用途ごとに細かく異なるため、すべてを丸暗記しようとすると混乱します。まず「病院・ホテル・共同住宅は3階以上で耐火建築物」という代表例をイメージとして固め、他の用途については試験直前期に別表第一を法令集で繰り返し確認するという方法が効率的です。

「イ準耐=準耐火構造で固める」「ロ準耐=外壁防火構造」

イ準耐火建築物とロ準耐火建築物の違いは、「主要構造部が準耐火構造かどうか」です。「イ(一番の準耐火)=準耐火構造」「ロ(緩めの準耐火)=外壁防火構造等」と覚えると整理しやすいです。

比較表を自分でスケッチする習慣をつける

法規の得意な受験生の多くが実践しているのが、「自分で白紙に比較表をスケッチする」という練習です。参考書の表を見て覚えるだけでなく、何も見ずに「耐火建築物・イ準耐・ロ準耐の要件」「防火地域・準防火地域の規模別要件」を再現する練習を繰り返すと、試験本番で自信を持って条文を引けるようになります。


📌 今すぐやること: 法令集の法2条9号の2(耐火建築物の定義)を開いて、要件が「主要構造部が耐火構造」+「延焼部分に防火設備」の2つであることを確認してください。この2要件をセットで覚えるのが攻略の第一歩です。

まとめ

この記事では、一級建築士試験の法規における「耐火建築物」「準耐火建築物」の違いと、用途・地域による建築義務を整理しました。最後にポイントをまとめます。

定義の核心:

  1. 耐火建築物(法2条9号の2):主要構造部が耐火構造 + 延焼のおそれのある部分の開口部に防火設備
  2. イ準耐火建築物(法2条9号の3イ):主要構造部が準耐火構造 + 延焼のおそれのある部分の開口部に防火設備
  3. ロ準耐火建築物(法2条9号の3ロ):令第136条の2の技術基準に適合(外壁防火構造等)
  4. 防火構造は外壁・軒裏のみが対象であり、「準耐火建築物の主要構造部の性能」ではない

用途・規模による建築義務:

  1. 法第27条・別表第一に基づき、特殊建築物の用途と階数・面積によって耐火建築物等が義務付けられる
  2. 病院・ホテル・共同住宅は3階以上で耐火建築物が必要
  3. 百貨店・マーケット等は「3階以上かつ3,000㎡以上」という面積条件も加わる

防火地域・準防火地域:

  1. 防火地域(法61条):原則として耐火建築物(3階以上・100㎡超の場合)
  2. 準防火地域(法第61条):規模によって「耐火建築物→準耐火建築物→防火構造」の3段階
  3. 法第27条の用途規制と防火地域等の地域規制は独立して適用され、より厳しい方が優先される

耐火建築物・準耐火建築物まわりの問題は、「どの条文を根拠にしているか」「どの要件を満たす必要があるか」という観点で法令集を引く練習が最も効果的な対策です。ぜひ法令集の法第2条第9号の2・9号の3、法第27条、別表第一、法第61条・第62条を実際に開いて、この記事の内容と照らし合わせてみてください。


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