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メタディスクリプション: 一級建築士試験で毎年出題される建蔽率・容積率の計算方法を徹底解説。建基法52条・53条の条文根拠、用途地域別の上限数値一覧、角地・防火地域の緩和規定、前面道路幅員による容積率制限、地下室・駐車場の不算入規定まで計算例付きで整理します。
1. はじめに:建蔽率・容積率の計算、実は落とし穴が多い
一級建築士学科試験の「法規」科目において、建蔽率と容積率は毎年複数問が出題される最重要テーマです。「計算式は知っている」という受験生でも、実際の試験では思わぬミスをしてしまうことが多く、得点を落とす原因になりやすい項目でもあります。
具体的な落とし穴としては、以下のようなものがあります。
- 角地緩和や防火地域緩和を組み合わせた複合問題で計算ミスをする
- 建蔽率が無制限になる条件(商業地域+防火地域+耐火建築物)を忘れている
- 前面道路が複数ある場合の容積率制限で誤った道路幅員を使ってしまう
- 地下室・駐車場などの不算入規定の上限(分の何分の一)を間違える
この記事では、建基法52条(容積率)・53条(建蔽率)の条文構造を整理したうえで、用途地域別の数値一覧・緩和規定・不算入規定・具体的な計算例・試験頻出の誤りパターンまで一気に解説します。社会人受験生が短時間で得点力を上げられるよう、表・計算式・具体例を多用しながら丁寧に説明します。
2. 建蔽率とは(建基法53条)

基本の計算式
建蔽率とは、敷地面積に対する建築面積の割合です。建基法53条に規定されています。
建蔽率(%)= 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100
建築面積とは、建築物の外壁または柱の中心線で囲まれた水平投影面積のことです(建基法2条2号)。平たく言えば「建物を真上から見たときの面積」です。
建蔽率の規制は、敷地内の空地を確保することを目的としています。建物が敷地いっぱいに建てられると、日照・通風・延焼防止・避難スペースが失われるため、用途地域ごとに上限が設定されています。
用途地域別の建蔽率上限数値一覧
建基法53条1項では、用途地域に応じた建蔽率の上限が定められています。
| 用途地域 | 建蔽率の上限 |
|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | 30・40・50・60% のいずれか(特定行政庁が都市計画で指定) |
| 第二種低層住居専用地域 | 30・40・50・60% のいずれか |
| 第一種中高層住居専用地域 | 30・40・50・60% のいずれか |
| 第二種中高層住居専用地域 | 30・40・50・60・60% のいずれか |
| 第一種住居地域 | 50・60・80% のいずれか |
| 第二種住居地域 | 50・60・80% のいずれか |
| 準住居地域 | 50・60・80% のいずれか |
| 近隣商業地域 | 60・80% のいずれか |
| 商業地域 | 80% |
| 準工業地域 | 50・60・80% のいずれか |
| 工業地域 | 50・60% のいずれか |
| 工業専用地域 | 30・40・50・60% のいずれか |
| 用途地域の指定なし(非線引き都市計画区域等) | 30・40・50・60・70% のいずれか |
試験のポイント: 商業地域の建蔽率上限が「80%」であることを覚えてください。この数値は後述の「無制限になるケース」と組み合わせて出題されます。
3. 建蔽率の緩和規定
建基法53条3項・4項・5項・6項には、一定の条件を満たす場合に建蔽率を緩和(加算)する規定があります。
角地緩和(+10%)
幅員が一定以上の道路に2方向以上接する「角地」については、建蔽率の上限に+10%の緩和があります(建基法53条3項1号)。
ただし、角地緩和の適用には条件があります。
- 特定行政庁が指定する角地であること
- 敷地が幅員の異なる2以上の道路に面していること(自治体により細かい条件は異なる)
覚え方: 角地は2方向に道路があるため、火災時の逃げ道・消防活動スペースが確保しやすい。だから緩和される、という理屈で覚えましょう。
防火地域内の耐火建築物(+10%)
防火地域内に耐火建築物を建てる場合は、建蔽率の上限に+10%の緩和があります(建基法53条3項2号)。
| 条件 | 緩和幅 |
|---|---|
| 角地(特定行政庁指定) | +10% |
| 防火地域内の耐火建築物 | +10% |
両方該当で+20%
角地かつ防火地域内の耐火建築物である場合、両方の緩和が重複適用されます。
緩和後の建蔽率 = 指定建蔽率 + 10%(角地)+ 10%(防火地域内耐火建築物)
= 指定建蔽率 + 20%
【例題】
指定建蔽率60%の地域に、角地かつ防火地域内で耐火建築物を建てる場合の建蔽率上限は?
60% + 10% + 10% = 80%
建蔽率が無制限になるケース
建基法53条6項では、一定の条件を満たす場合に建蔽率の制限が適用されなくなる(実質100%)ケースが規定されています。
条件:商業地域 + 防火地域 + 耐火建築物
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 用途地域 | 商業地域(指定建蔽率80%) |
| 防火規制 | 防火地域 |
| 建築物の構造 | 耐火建築物 |
この3つが重なる場合、建蔽率80%に防火地域内耐火建築物の+10%を加えると90%になりますが、さらに建基法53条6項の規定により建蔽率の制限が外れ、実質的に100%(無制限)となります。
試験のポイント: 「商業地域+防火地域+耐火建築物」という3セットを丸ごと覚えることが重要です。どれかが欠けると無制限にはなりません。
なお、建蔽率の上限が80%と指定されている地区でも、防火地域内の耐火建築物であれば+10%の緩和は適用され、上限は90%になります(ただし無制限にはなりません)。
4. 容積率とは(建基法52条)

基本の計算式
容積率とは、敷地面積に対する建築物の延べ面積(各階の床面積の合計)の割合です。建基法52条に規定されています。
容積率(%)= 延べ面積 ÷ 敷地面積 × 100
延べ面積とは、建築物の各階の床面積の合計です(建基法2条4号)。建蔽率が「建物の敷地占有割合」を制限するのに対し、容積率は建物の総ボリューム(規模)を制限します。
用途地域別の容積率上限数値一覧
建基法52条1項では、用途地域に応じた容積率の上限が定められています。
| 用途地域 | 容積率の上限 |
|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | 50・60・80・100・150・200% のいずれか |
| 第二種低層住居専用地域 | 50・60・80・100・150・200% のいずれか |
| 第一種中高層住居専用地域 | 100・150・200・300・400・500% のいずれか |
| 第二種中高層住居専用地域 | 100・150・200・300・400・500% のいずれか |
| 第一種住居地域 | 100・150・200・300・400・500% のいずれか |
| 第二種住居地域 | 100・150・200・300・400・500% のいずれか |
| 準住居地域 | 100・150・200・300・400・500% のいずれか |
| 近隣商業地域 | 100〜500% のいずれか |
| 商業地域 | 200〜1300% のいずれか |
| 準工業地域 | 100〜500% のいずれか |
| 工業地域 | 100〜400% のいずれか |
| 工業専用地域 | 100〜400% のいずれか |
試験のポイント: 商業地域の容積率は最大1300%と高い数値が設定されており、都市の中心部での高層開発を可能にしています。
前面道路幅員による制限(道路容積率)
容積率には、都市計画で定める指定容積率のほかに、前面道路の幅員に基づく制限(道路容積率)があります(建基法52条2項)。
前面道路の幅員が12m未満の場合、以下の計算式で道路容積率を算出し、指定容積率と比べて小さい方を適用します。
道路容積率(%)= 前面道路の幅員(m)× 法定乗数
| 用途地域 | 法定乗数 |
|---|---|
| 住居系用途地域(低層・中高層・住居・準住居) | 4/10(0.4) |
| その他の用途地域(商業・工業系など) | 6/10(0.6) |
【複数の前面道路がある場合】
敷地が2つ以上の道路に面している場合は、最も幅員の広い道路(最広の前面道路)を用いて道路容積率を計算します(建基法52条2項)。ただし幅員の差が大きい場合は詳細な計算が必要なケースもあります。
5. 容積率の不算入・緩和規定
建基法52条3項〜6項では、延べ面積の算定から一定部分を除外する「不算入規定」が定められています。
地下室(住宅用途の1/3不算入)
住宅の用途に供する地下室については、住宅の用途部分の延べ面積の1/3を限度として延べ面積に算入しないことができます(建基法52条3項)。
不算入できる地下室面積の上限 = 住宅部分の床面積の合計 × 1/3
適用条件:
– 天井が地盤面から高さ1m以下(建基法施行令2条3項)
– 住宅の用途に供するもの(居住用に限る。店舗・事務所は対象外)
共用廊下・階段
共同住宅の共用廊下・階段等の用に供する部分は、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しないことができます(建基法52条6項)。
社会的背景として、共用部分の面積が大きくなると容積率制限に引っかかってしまい、マンション建設の際に有効な住居面積が減ってしまうという問題があったため、共用部分を不算入とすることで実質的な住居面積の確保を可能にしています。
駐車場・駐輪場(1/5不算入)
建築物の自動車車庫・自転車駐車場の用途に供する部分は、建築物全体の延べ面積の1/5を限度として延べ面積に算入しません(建基法52条3項)。
不算入できる車庫等面積の上限 = 建築物の延べ面積(不算入前)× 1/5
エレベーターシャフト
エレベーターの昇降路の部分(シャフト)も、各階の床面積の算定において含まれません(建基法施行令2条1項4号)。エレベーターシャフトが各階に占める面積を延べ面積から除外できるため、高層建築において有利に働きます。
不算入規定の比較一覧
| 不算入規定 | 根拠 | 不算入の上限 | 適用条件 |
|---|---|---|---|
| 地下室 | 52条3項 | 住宅部分の延べ面積の1/3 | 住宅用途・天井高1m以下など |
| 共用廊下・階段 | 52条6項 | 全額不算入 | 共同住宅の共用部分 |
| 駐車場・駐輪場 | 52条3項 | 延べ面積(不算入前)の1/5 | 自動車・自転車の保管・格納の用途 |
| エレベーターシャフト | 施行令2条1項4号 | 全額不算入 | 昇降路部分のみ |
6. 計算例(具体的な数値で演習)
建蔽率の計算例
【前提条件】
– 敷地面積:300㎡
– 指定建蔽率:60%
– 立地:防火地域内・角地(特定行政庁指定)
– 建築物の構造:耐火建築物
【ステップ1:緩和後の建蔽率を求める】
基本の建蔽率:60%
+ 角地緩和:+10%
+ 防火地域内耐火建築物:+10%
───────────────
緩和後の建蔽率:80%
【ステップ2:建築面積の上限を求める】
建築面積の上限 = 敷地面積 × 緩和後建蔽率
= 300㎡ × 80%
= 240㎡
この敷地では、最大240㎡までの建築面積の建物を建てることができます。
容積率の計算例(前面道路制限あり)
【前提条件】
– 敷地面積:200㎡
– 用途地域:第一種住居地域(住居系)
– 指定容積率:300%
– 前面道路の幅員:6m(12m未満のため道路容積率の計算が必要)
【ステップ1:道路容積率を求める】
住居系用途地域の法定乗数は4/10(0.4)
道路容積率 = 前面道路幅員 × 法定乗数
= 6m × 4/10
= 240%
【ステップ2:適用する容積率を決定する】
指定容積率:300%
道路容積率:240%
→ 小さい方を適用:240%
【ステップ3:延べ面積の上限を求める】
延べ面積の上限 = 敷地面積 × 適用容積率
= 200㎡ × 240%
= 480㎡
【ステップ4:駐車場の不算入を加味する(応用)】
この建物に地下駐車場(床面積80㎡)を設ける場合、不算入の限度を確認します。
不算入上限 = 延べ面積(不算入前)× 1/5
= 480㎡ × 1/5
= 96㎡
駐車場面積80㎡ ≦ 上限96㎡ → 80㎡全額不算入
したがって、駐車場の80㎡を除いた延べ面積が480㎡以内であればよいため、建築物の居室等の延べ面積は最大480+80=560㎡(駐車場込みの総延べ面積から駐車場を不算入とした場合)まで計画できます。
注意: この計算では「480㎡が駐車場を除いた延べ面積の上限」なのか「駐車場不算入後の延べ面積が480㎡以内」なのかで答えが変わります。問題文をよく読んで条件を確認することが重要です。
7. 試験頻出の誤り選択肢パターン
一級建築士試験の法規問題で実際に狙われる誤りパターンを整理します。
パターン①:建蔽率の緩和条件の取り違え
| 誤り選択肢の内容 | 正しい内容 |
|---|---|
| 「準防火地域内の耐火建築物に+10%緩和がある」 | 防火地域内の耐火建築物が対象(準防火地域は不可) |
| 「建蔽率無制限は近隣商業地域でも適用される」 | 商業地域のみ(近隣商業地域は不可) |
| 「角地緩和は特定行政庁の指定なしに当然に適用される」 | 特定行政庁の指定が必要 |
| 「準耐火建築物でも防火地域の緩和が受けられる」 | 耐火建築物でなければ不可 |
パターン②:道路容積率の計算間違い
| 誤り選択肢の内容 | 正しい内容 |
|---|---|
| 「住居系地域の法定乗数は6/10」 | 住居系は4/10、その他が6/10 |
| 「前面道路が複数ある場合は最小幅員を使用する」 | 最大幅員(最広の道路)を使用 |
| 「前面道路幅員が12m以上なら道路容積率の制限はない」 | 12m以上なら指定容積率がそのまま適用(制限なし)→ これは正しい |
| 「前面道路が10mなら住居系地域の道路容積率は400%」 | 10 × 4/10 = 400%(これは正しい計算) |
パターン③:不算入規定の分数の混同
| 誤り選択肢の内容 | 正しい内容 |
|---|---|
| 「地下室は延べ面積の1/5を限度に不算入」 | 地下室(住宅用途)は住宅部分の1/3を限度に不算入 |
| 「駐車場は延べ面積の1/3を限度に不算入」 | 駐車場は延べ面積の1/5を限度に不算入 |
| 「共用廊下は延べ面積の1/4を限度に不算入」 | 共同住宅の共用廊下・階段は全額不算入(上限なし) |
パターン④:建蔽率と容積率の条文番号の混同
| 内容 | 条文番号 |
|---|---|
| 容積率 | 建基法52条 |
| 建蔽率 | 建基法53条 |
「52条が容積率、53条が建蔽率」と数字の順番で覚えましょう。52の「5」が容積(ヨウ積)の「ヨ」と語感が合わないため、試験では逆に書いた選択肢が頻出します。
8. 社会人向けの覚え方・攻略法
忙しい社会人受験生が建蔽率・容積率を効率よく攻略するためのポイントを紹介します。
条文番号は「52条が容積率、53条が建蔽率」で固定する
「52条=容積率」「53条=建蔽率」という対応は頻繁に問われます。語呂合わせとして「ゴーニ(52)容積」と口に出して反復することで定着します。
緩和規定は「+10の条件」を2つ覚えるだけ
建蔽率の緩和は以下の2条件のみ:
- 角地(特定行政庁指定)→ +10%
- 防火地域内耐火建築物 → +10%
この2つを組み合わせると最大+20%、商業地域で両方に該当すると無制限、という流れで覚えると体系的に整理できます。
道路容積率は「住居系:4/10、それ以外:6/10」の二択
法定乗数は2種類しかありません。「住居系は4(ヨン)、それ以外は6(ロク)」と繰り返すだけで覚えられます。
不算入規定は「分数を表にして手書きで整理」
地下室の1/3と駐車場の1/5は混乱しやすいため、以下の表を自分で手書きしながら整理する学習が効果的です。
| 種類 | 不算入上限 |
|---|---|
| 地下室(住宅用途) | 住宅部分の延べ面積 × 1/3 |
| 駐車場・駐輪場 | 延べ面積(不算入前)× 1/5 |
| 共同住宅の共用廊下・階段 | 全額 |
| エレベーターシャフト | 全額 |
過去問を「計算問題に絞って」繰り返す
法規の建蔽率・容積率問題は、文章理解よりも数字を正確に当てはめる計算力が問われます。時間の限られた社会人受験生は、まず過去10年分の計算問題だけを集中的に解くことで効率よく得点力を高めることができます。
9. まとめ
建蔽率・容積率の重要ポイントをまとめます。
建蔽率(建基法53条)の重要事項
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計算式 | 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100 |
| 角地緩和 | +10%(特定行政庁指定が必要) |
| 防火地域内耐火建築物 | +10% |
| 最大緩和幅 | +20%(上記2つ重複) |
| 建蔽率無制限 | 商業地域 + 防火地域 + 耐火建築物の3条件 |
容積率(建基法52条)の重要事項
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計算式 | 延べ面積 ÷ 敷地面積 × 100 |
| 道路容積率(前面道路12m未満) | 幅員(m)× 法定乗数(住居系4/10、その他6/10) |
| 適用する容積率 | 指定容積率と道路容積率の小さい方 |
不算入規定の重要事項
| 種類 | 不算入上限 |
|---|---|
| 地下室(住宅用途) | 住宅部分の延べ面積の1/3 |
| 共同住宅の共用廊下・階段 | 全額不算入 |
| 駐車場・駐輪場 | 延べ面積の1/5 |
| エレベーターシャフト | 全額不算入 |
建蔽率・容積率の問題は、条件の組み合わせが複雑に見えても、1つひとつの規定を正確に適用していけば必ず答えが出る分野です。計算ミスを防ぐためには「緩和規定の確認 → 道路容積率の計算 → 不算入規定の確認」という手順を習慣化することが重要です。
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