用途地域13種類の制限を完全整理|法規で点を落とさない一覧表

用途地域13種類の制限を完全整理|法規で点を落とさない一覧表

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はじめに|「用途地域、また間違えた…」という経験はありませんか?

一級建築士試験の法規科目を勉強していると、必ずぶつかる壁があります。

それが用途地域の問題です。

「第一種低層住居専用地域ではこの建物は建てられるか?」「準工業地域で共同住宅はOKだっけ?」――試験問題を解きながら、頭の中が混乱してくる感覚、覚えがありませんか?

私自身、法規の勉強を始めたとき、13種類もある用途地域の制限をどう整理すればいいのかまったく見当もつきませんでした。テキストを読んでは忘れ、問題を解いては間違え、「また用途地域で落とした…」と悔しい思いを何度もした記憶があります。

しかも社会人受験生にとって、この科目はさらに過酷です。仕事終わりの疲れた頭で法令集を開いても、似たような名称の地域が13種類並んでいるだけで気力が削がれる。土日にまとめて勉強しようとしても、どこから手をつければいいかわからない。

でも、安心してください。用途地域の問題には、明確なパターンと攻略法があります。

この記事では、13種類の用途地域を「住居系・商業系・工業系」に分類して整理し、試験で狙われやすい例外・注意点を絞り込んで解説します。読み終えた後には、「用途地域の問題は得点源にできる」という感覚を持っていただけるはずです。


用途地域とは何か|まず「なぜ存在するか」を理解する

用途地域の目的

用途地域とは、都市計画法に基づいて定められる土地利用の区分です。「この地域には住宅を建ててよい」「この地域には工場も建てられる」というように、土地ごとに建てられる建築物の種類を制限することで、住環境・商業環境・工業環境を秩序ある形で共存させることを目的としています。

根拠法令は都市計画法第8条第1項第1号ですが、建築物に対する具体的な制限は建築基準法第48条および別表第二に規定されています。試験では建築基準法側からアプローチする問題が多いため、両方の条文をリンクさせて理解することが重要です。

用途地域が指定される範囲

用途地域は都市計画区域内の市街化区域に必ず定めなければなりません(都市計画法第13条第1項第7号)。市街化調整区域には原則として用途地域は定められず、非線引き区域では任意で定めることができます。

この「市街化区域には必ず定める」という原則は試験でも問われるポイントなので、しっかり押さえておきましょう。

13種類という数字の背景

用途地域はかつて8種類でしたが、1992年(平成4年)の都市計画法改正で12種類に、さらに2018年(平成30年)の改正で田園住居地域が追加され、現在の13種類となっています。試験では「田園住居地域」が比較的新しい区分として出題されやすいので、特に注意が必要です。


13種類の用途地域一覧|住居系・商業系・工業系で完全整理

用途地域は大きく3つのグループに分かれます。

用途地域13種類の分類図 — 住居系8種・商業系2種・工業系3種を色分けで整理

  • 住居系:8種類
  • 商業系:2種類
  • 工業系:3種類

それぞれのグループごとに、建築制限の考え方の流れとともに整理していきましょう。


住居系用途地域(8種類)

住居系は「住環境の保護」が基本方針です。番号が小さい(制限が厳しい)ほど静かな住宅地をイメージしてください。

① 第一種低層住居専用地域

最も厳しく住環境を守る地域です。低層住宅のための地域として、小規模な店舗や事務所も原則として建築できません。

項目 内容
建てられる主な建物 住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、兼用住宅(店舗等の床面積50㎡以下かつ住宅部分以下)
建てられない主な建物 店舗、事務所、ホテル、工場、倉庫など
特徴的な制限 建物の高さ:10mまたは12m(絶対高さ制限あり)

② 第二種低層住居専用地域

第一種とほぼ同じですが、150㎡以下の小規模な店舗(2階建て以下)が建てられます。日用品の店舗(コンビニ程度)が入るイメージです。

③ 田園住居地域(2018年追加)

農業の利便を図りつつ、低層住宅に係る良好な住居環境を守る地域です。第一種低層住居専用地域に似た制限ですが、農産物直売所・農家レストラン(床面積500㎡以下)が建てられる点が特徴です。試験で「何が建てられるか」を問う問題が出やすい区分です。

④ 第一種中高層住居専用地域

中高層住宅のための地域です。低層系と違い、絶対高さ制限はありません(容積率・建蔽率による制限のみ)。病院・大学が建てられるようになります。

項目 内容
建てられる主な建物 住宅、共同住宅、病院、大学、500㎡以下の店舗(2階以下)
建てられない主な建物 事務所、ホテル、工場

⑤ 第二種中高層住居専用地域

第一種中高層に加え、1500㎡以下の店舗・事務所が建てられます。スーパーマーケット規模の店舗が入るイメージです。

⑥ 第一種住居地域

住居の環境を守る地域ですが、3000㎡以下の店舗・事務所・ホテルが建てられます。利便性が高まり、身近な商業施設が立地できます。ただし工場や風俗施設は建てられません。

⑦ 第二種住居地域

第一種住居地域よりも制限が緩く、面積制限なしで店舗・事務所・ホテル・カラオケボックスなどが建てられます(パチンコ店も可)。

⑧ 準住居地域

自動車関連施設(ガソリンスタンド、自動車整備工場など)との調和を目的とした地域です。第二種住居地域で建てられるものに加え、映画館(200席未満・床面積200㎡未満)も建てられます。


商業系用途地域(2種類)

商業系は「利便性の確保」が基本方針です。住居系の制限がどんどん緩くなった先にあるイメージです。

⑨ 近隣商業地域

近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を目的とした地域です。大型店舗・事務所・ホテルが建てられますが、キャバレー・遊技場・風俗施設の一部は建てられません。

⑩ 商業地域

銀行・映画館・飲食店・百貨店などが集まる都市の中心的な商業地です。ほとんどの建物が建てられますが、危険性・環境悪化が大きい工場(住宅に影響が大きいもの)は建築不可です。


工業系用途地域(3種類)

工業系は「工業の利便」が基本方針です。ただし制限の程度によって住宅が建てられるかどうかが変わります。

⑪ 準工業地域

最も制限の緩い工業系です。住宅・店舗・事務所・ホテルなど幅広い建物が建てられます。危険性・環境悪化が大きい工場は建築不可。なお住宅も建てられるため、住工混在地区をイメージしてください。

⑫ 工業地域

工場のための地域です。住宅・共同住宅・寄宿舎・下宿は建てられます(ここが重要なポイント)が、学校・病院・ホテル・共同住宅以外の福祉施設は建てられません。

⑬ 工業専用地域

工場のみのための地域です。住宅・共同住宅・寄宿舎・下宿が建てられません。店舗も原則として建てられません。13種類の中で最も制限が特殊であり、「住宅が建てられない唯一の用途地域」として試験で頻出です。


用途地域一覧まとめ表

# 用途地域名 分類 住宅 店舗 事務所 ホテル 工場
1 第一種低層住居専用 住居系 ×(兼用のみ) × × ×
2 第二種低層住居専用 住居系 ○(150㎡以下) × × ×
3 田園住居 住居系 ○(150㎡以下) × × ×
4 第一種中高層住居専用 住居系 ○(500㎡以下) × × ×
5 第二種中高層住居専用 住居系 ○(1500㎡以下) ○(1500㎡以下) × ×
6 第一種住居 住居系 ○(3000㎡以下) ○(3000㎡以下) ○(3000㎡以下) ×
7 第二種住居 住居系 ×
8 準住居 住居系 ○(一部)
9 近隣商業 商業系 ○(一部)
10 商業 商業系 ○(一部)
11 準工業 工業系 ○(一部)
12 工業 工業系 ○(一部) × ×
13 工業専用 工業系 × ×(一部○) × ×

※この表は概略です。実際の試験では建築基準法別表第二の具体的な条件(床面積・階数・用途の組み合わせ)で問われます。必ず法令集の別表第二で確認してください。


試験で狙われる「例外と注意点」|ここを押さえれば差がつく

用途地域の問題で点を落とす受験生のほとんどは、「基本は知っているが例外を見落とした」というパターンです。以下に試験頻出の例外・注意点を絞り込んで解説します。

注意点① 工業地域では住宅が建てられる

「工業地域」という名前から「住宅は建てられない」と思いがちですが、工業地域では住宅・共同住宅・寄宿舎・下宿は建てられます。建てられないのは「工業専用地域」です。

この誤解は非常に多く、毎年のように試験で問われます。

覚え方:「専用」が付く(工業専用地域)だけが、住宅が建てられない。

注意点② 商業地域でも建てられない建物がある

商業地域は「何でも建てられる」印象がありますが、危険性・環境悪化が著しい工場(建築基準法別表第二に列挙されているもの)は建てられません。試験では「商業地域に○○工場を建てられるか?」という問い方で出題されます。

注意点③ 田園住居地域は農業関連施設に注意

2018年新設の田園住居地域では、農産物の生産・集荷・処理・貯蔵に供する建築物(床面積500㎡以下)が認められています。一方、農産物の販売を主目的とする大規模な店舗は建てられません。「何の用途か」「面積はいくつか」を問う問題が典型的な出題パターンです。

注意点④ 第一種低層住居専用地域の「兼用住宅」の条件

第一種低層住居専用地域では原則として店舗・事務所は建てられませんが、「兼用住宅」として住宅の一部に組み込む形であれば例外的に認められます。ただし条件があります:

  • 非住宅部分の床面積が50㎡以下
  • かつ非住宅部分の床面積が住宅部分の床面積以下
  • 用途が政令で定めるもの(日用品販売の店舗、理髪店、建築士事務所など)に限る

この「50㎡以下かつ住宅部分以下」という二重条件を正確に覚えておくことが重要です。

注意点⑤ 「用途地域の定めのない地域」における扱い

用途地域が定められていない区域(非線引き区域や都市計画区域外)では、建築基準法第48条の用途制限は適用されません。ただし、特定行政庁が支障があると認める場合の許可・不許可の規定(第48条ただし書き)は別途適用される場合があります。

注意点⑥ 特定行政庁の許可による建築

各用途地域の制限には「ただし書き許可」が設けられており、特定行政庁が利害関係者の意見を聴いた上で許可すれば、本来建てられない建物を建てることができます(建築基準法第48条各項ただし書き)。

試験では「許可があれば建てられるか?」という設問で問われます。「許可があれば原則どの用途地域でも建てられる可能性がある」という原則を理解しておきましょう。

注意点⑦ 建蔽率・容積率との組み合わせ問題

試験では用途地域の用途制限だけでなく、建蔽率(法第53条)・容積率(法第52条)・高さ制限(法第55条・56条)との複合問題も出題されます。特に第一種・第二種低層住居専用地域の「絶対高さ制限(10mまたは12m)」は、他の用途地域にはない独特の制限として必出です。


社会人向け効率的な暗記法|限られた時間で確実に定着させる

社会人受験生にとって最大の課題は「時間がない」ことです。じっくり繰り返せる学生と違い、私たちには通勤電車や昼休みなど細切れの時間しかありません。そこで、用途地域の暗記に特化した実践的な方法を紹介します。

方法① 「ストーリー式」で流れを覚える

13種類を順番に「ストーリー」として理解すると記憶に残りやすいです。

住居系のストーリー
「静かな低層住宅街(第一種低層)→ 少しだけお店が入る(第二種低層)→ 田んぼと住宅が混在(田園住居)→ マンションが建ち始める(第一種中高層)→ 小さなスーパーも入る(第二種中高層)→ コンビニ・ファミレスも(第一種住居)→ パチンコ店も(第二種住居)→ ガソリンスタンドも(準住居)」

このように「街が発展していく」イメージで流れを追うと、どの地域でどの建物が建てられるかが自然と整理されます。

商業・工業系のストーリー
「近所のお店が集まる(近隣商業)→ 都心のデパート街(商業)→ 工場と住宅が混ざる(準工業)→ 完全に工場地帯だが住める(工業)→ 工場しか建てられない(工業専用)」

方法② 「例外3点セット」だけを完璧に覚える

試験で差がつくのは例外問題です。以下の「試験頻出例外3点」を完璧にしてから、細かい面積制限に進みましょう。

  1. 工業地域では住宅が建てられる(工業専用地域は建てられない)
  2. 第一種低層住居専用地域の兼用住宅:50㎡以下かつ住宅部分以下
  3. 田園住居地域では農産物直売所(500㎡以下)が建てられる

方法③ 法令集の別表第二を「縦読み」する

用途地域の制限は建築基準法別表第二(い)〜(わ)に規定されています。テキストや一覧表を見るだけでなく、実際の法令集の別表第二を縦に読む練習をすることで、本番で素早く引けるようになります。

社会人にとって法令集の引き方に慣れることは非常に重要です。試験本番では法令集を持ち込めるため、「知識を正確に覚える」よりも「どこにあるかを把握して素早く引ける」ことの方が得点に直結します。

方法④ スキマ時間に「1地域1分」のクイズを自分に出す

通勤電車や昼休みに、「今日は準工業地域。何が建てられて、何が建てられないか?」と自問自答する習慣をつけましょう。1日1〜2地域を確認するだけで、2週間で全13種類を2周できます。

スマホアプリや過去問アプリを使えば、法令集なしでも問題演習ができます。社会人の方には特に、移動中や隙間時間に活用できる学習ツールがおすすめです(後述のスタディング等)。

方法⑤ 間違えた問題に「用途地域タグ」をつける

過去問を解くとき、用途地域に関連する問題を見つけたら「何が引っかかりポイントだったか」をメモして別途まとめます。自分が苦手なパターン(例:「工業地域で住宅の可否を間違える」「面積制限の数値を混同する」)が可視化され、集中的に対策できます。


まとめ|用途地域は「整理すれば得点源」になる

この記事では、一級建築士試験の法規科目で頻出の用途地域13種類を以下の観点から整理しました。

  1. 用途地域の目的と法的根拠:都市計画法第8条・建築基準法第48条・別表第二
  2. 13種類の分類と特徴:住居系8種類・商業系2種類・工業系3種類
  3. 試験で狙われる例外・注意点:工業地域の住宅可否、兼用住宅の条件、田園住居地域の特例など
  4. 社会人向けの効率的な暗記法:ストーリー式、例外3点セット、法令集の縦読み、スキマ時間活用

用途地域の問題は、最初は「似たような名前が多くて覚えられない」と感じても、分類・流れ・例外の3点を押さえれば確実に正解できるようになります。

焦らず、まず「住居系の流れ」から理解して、例外を1つずつ積み上げていきましょう。法規科目は勉強すればするほど点数が伸びる科目です。苦手意識を持ったままにせず、この記事を出発点にして、ぜひ得点源に変えてください。

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