一級建築士 法規の捨て問の見極め方|3分で判断する5つの基準

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【今すぐやること】

  • 次の模擬試験か過去問演習で「捨て問候補」を意識して解いてみる
  • 問題文を読んで30秒以内に判断できない場合はマークして次へ
  • 残り15分で捨て問候補に戻る習慣をつける

はじめに――1問に10分かけて結局間違える、法規最大の落とし穴

「条文が見つからない……もう少し探せば絶対ある」

そう思いながらページをめくり続け、気づけば10分経過。やっと答えを出したら不正解。残り時間が足りなくなり、焦りで後半の簡単な問題までミスする。

一級建築士の法規試験で、これほど「やってはいけないパターン」はありません。法規は30問を105分で解く科目です。1問あたり平均3分30秒しか使えません。10分かけた1問は、3〜4問分の時間を消費していることになります。

この記事では、法規試験で合否を分ける「捨て問の見極め方」を具体的に解説します。3分以内に判断できる5つの基準と、捨て問にしていい問題・絶対に捨ててはいけない問題の区別を体系的にまとめました。

社会人受験生として限られた時間を最大限活かすために、ぜひ最後まで読んでください。

捨て問とは何か――法規特有の事情

「法令集があるから捨て問はない」は間違い

法規は唯一、試験会場に法令集を持ち込める科目です。そのため「調べれば必ず答えが出る。だから捨て問はない」と考える受験生が少なくありません。

しかし、これは大きな誤解です。

法令集で「調べられる」ことと、「試験時間内に正確に調べられる」ことはまったく別の話です。

  • 法令集は1,200ページ以上あります
  • 関連条文が複数の条・項にまたがることがあります
  • 準用・読み替え規定を追うと迷路に入ります
  • 施行令・告示・特例まで確認が必要な問題もあります

こうした問題は、時間をかけても確実に解ける保証がありません。むしろ「調べた時間」が完全に無駄になるリスクがあります。

全30問を105分で解く現実

法規は30問・105分の試験です。単純計算で1問3分30秒。しかし実際の時間配分を考えると、余裕はほとんどありません。

問題区分 目安問題数 1問あたりの目安時間
知識確認系(暗記で解ける) 約10問 1〜2分
法令集引き確認系 約12問 3〜4分
計算問題・複合問題 約5問 5〜7分
難問・新傾向問題 約3問 判断次第

上位3区分を合計するだけでおよそ95〜100分かかります。難問に時間を溶かす余裕はゼロです。

「捨て問を作る勇気」こそが、法規で高得点を取る鍵です。

法規の時間配分戦略については法規の時間配分完全ガイドも合わせてご覧ください。

捨て問を見極める5つの基準

以下の基準を順番にチェックしてください。1つでも該当すれば「捨て問候補」です。複数該当すればほぼ確実に捨てるべき問題です。

基準1:選択肢に見慣れない条文番号がある

問題を読んで「この条文、見たことがない」と感じたとき、それは重要なサインです。

一級建築士試験の法規は、出題される条文に一定の傾向があります。頻出条文(法第2条、法第28条、法第56条、令第112条など)は繰り返し出題されます。逆に、ほぼ出題されない条文もあります。

見慣れない条文番号が複数の選択肢に登場する問題は、新傾向問題である可能性が高い。得点への貢献度が低く、調査に時間がかかります。

判断目安:「この条文番号、過去問で見たか?」→ NOなら捨て問候補。

基準2:計算問題で条件が3つ以上ある

容積率・建蔽率・日影規制などの計算問題は、法規の得点源です。しかし、問題によっては条件が複雑に絡み合います。

例えば「前面道路幅員による容積率制限」「用途地域による容積率制限」「特定道路による緩和」が同時に絡む問題は、計算ステップが5つ以上になることがあります。

チェックポイント:

  • 条件(敷地面積・用途・道路幅・角地等)が3つ以上ある
  • 計算式を組み立てる前に確認すべき条文が2本以上ある
  • 特例・緩和・制限が複合している

ただし、容積率・建蔽率の基本計算は捨ててはいけません(後述)。条件が複雑な「応用計算」に限り、捨て問候補にします。

基準3:問題文を読むのに2分以上かかる

問題文自体が長い問題があります。敷地条件・建物用途・各階床面積・道路状況・隣地状況……これだけの情報が箇条書きで並んでいると、問題を読むだけで2〜3分かかることがあります。

問題文を一読して内容が把握できなければ、それは捨て問候補です。

読解に時間がかかる問題は、解答後の確認にも時間がかかります。コストパフォーマンスが著しく低い問題です。

判断目安:問題文を30秒以内に読み終えられないなら「捨て問候補」マークをつけて次へ。

基準4:法令集で該当箇所をすぐ開けない

法令集を使う前提でも、「どこを引くべきか」がわからない問題があります。

  • 問題文に条文番号の記載がなく、自分でキーワード検索する必要がある
  • 複数の法令(建築基準法+消防法など)にまたがっている
  • 告示や施行細則まで確認が必要な問題

法令集の引き方に自信があっても、「どこを引くべきかわからない」状態では時間が無限に溶けます。

「法令集のどのページを開くか」が10秒以内にイメージできない問題は捨て問候補。

法令集の効率的な使い方は過去問を使った法令集の引き方練習法をご覧ください。

基準5:過去問で見たことがないパターン

法規は過去問の繰り返し出題が多い科目です。過去10年分の問題を解いていれば、同じ論点・同じ条文が繰り返し登場することに気づくはずです。

逆に言えば、「過去問にないパターン」は新傾向問題です。

新傾向問題の特徴:

  • 問題のテーマ自体が初めて聞く分野
  • 条文の引用の仕方が今までと違う
  • 選択肢の組み合わせが新しい

新傾向問題は受験生全体が解けない可能性が高いため、捨てても合否への影響は小さい

過去問の効果的な使い方については過去問の正しい活用法もご参照ください。

捨て問に出会ったときの3ステップ

捨て問候補に出会ったとき、どう行動するか。感情に流されず、以下の3ステップを機械的に実行してください。

Step1:30秒で「捨て問候補」マークをつけて次へ

問題文を一読して「難しそう」と感じたら、即座に判断します。

具体的なアクション:

  1. 問題番号に鉛筆で△マークをつける
  2. 選択肢を見て「直感的に違う」と思うものに×をつける(消去法の下準備)
  3. 問題を閉じて次の問題へ

ここで大切なのは「あとで必ず戻る」という前提で割り切ることです。「捨てる=見捨てる」ではなく、「今は後回しにする」という判断です。

この判断に要する時間は30秒以内。それ以上考えたら時間の無駄です。

Step2:残り時間で再チャレンジ(最後の15分)

全30問を一通り解き終えたら、残り時間で捨て問候補に戻ります。目安として、残り15分あれば3〜4問の捨て問候補に再挑戦できます。

再挑戦時のポイント:

  • Step1でつけた×(消去法の下準備)を活かす
  • 法令集を引く場合は「最初の1ページで答えが出なければ撤退する」とルールを決める
  • 残り5分を切ったら再挑戦は打ち切る

時間が足りない場合でも、マークした問題は必ずStep3に進む。空欄のまま提出するのは最も避けるべき行動です。

Step3:それでもダメなら2番(消去法で残った選択肢)を選ぶ

最後まで判断できなかった問題は、マークシート的な処理をします。

完全にわからない場合の経験則:

  • 法規の選択肢は「2番か3番」に正解が集まりやすい傾向がある(過去問統計)
  • Step1の消去法で×をつけていれば、2択〜3択に絞れていることが多い
  • 「長い選択肢より短い選択肢が正解」という傾向もある(例外あり)

これは確率論に過ぎませんが、空欄よりは25〜50%の正解率に上げる価値があります。

捨て問にしてよい問題・ダメな問題

「捨て問」の考え方を誤解すると、得点源まで捨ててしまう危険があります。ここで明確に線引きをします。

捨てていい問題(OK)

法令集で条文が見つからない新傾向問題

前述の通り、過去問に出ていない論点・見慣れない条文番号が連続する問題は捨てていい。受験生全体が解けないため、差がつきません。

施行細則・告示のみを問う問題

建築基準法の施行細則や特定の告示のみを問う問題は、試験に占める割合が小さく、準備に対するコストパフォーマンスが低い。出会ったら即捨てで構いません。

読解に3分以上かかる複合問題

問題文の読解だけで3分以上かかると判断した場合は捨て問にする。他の問題を確実に取る方が合格に近づきます。

絶対に捨ててはいけない問題(NG)

容積率・建蔽率の計算問題

これは法規の最重要得点源です。絶対に捨ててはいけません。

容積率・建蔽率の計算は毎年必ず出題され、計算手順が確立されています。時間がかかっても、確実に得点できる問題です。練習で計算を高速化し、本番では必ず解ける状態にしておく。

1問あたり5〜7分かかっても、確実に正解できるなら投資する価値があります。

防火区画の問題

令第112条の防火区画は頻出テーマです。区画の種類(面積区画・竪穴区画・異種用途区画)と面積・構造要件を整理しておけば、確実に解ける問題が多い。

「難しそう」と感じても、法令集の引き方を練習していれば対応できます。粘る価値のある問題です。

用途制限の問題

別表第二(い)〜(を)に基づく用途制限は頻出テーマです。法令集の別表ページは使い込んでいるはずで、素早く確認できます。問題文を読んで「別表を見ればわかる」と判断できる問題は捨てないこと。

採光・換気計算

法第28条の採光計算は毎年出題されます。計算式を覚えていれば機械的に解けるため、捨てると確実に失点します。

社会人受験生が時間感覚を鍛える方法

頭でわかっていても、試験本番で適切な判断ができるかは練習次第です。社会人受験生が限られた時間で「捨て問判断力」を鍛えるための具体的な方法を紹介します。

タイマーを使った過去問演習

過去問を解くとき、必ずタイマーを使います。設定は「1問3分」。3分で答えが出なかった問題は強制的に△マークをつけて次へ進む。これを繰り返すことで、時間感覚が身につきます。

最初は制約が苦しく感じますが、3〜4回繰り返すうちに「この問題は3分以内で解けるか否か」を直感的に判断できるようになります。

「捨て問ノート」を作る

演習で捨て問にした問題を記録しておきます。翌週に見直したとき、「この問題は捨てて正解だった」「これは粘れば解けた」という振り返りができます。

捨て問ノートで記録すること:

  • 問題番号・出典年度
  • 捨てた理由(基準1〜5のどれか)
  • 正解・自分の回答
  • 振り返りコメント(次回は捨てる/粘るの判断更新)

年度別過去問で本番シミュレーション

単元別の問題集だけでなく、年度別の過去問(30問・105分)を定期的に解きます。月に1回程度、本番と同じ環境(静かな場所・タイマー設定・法令集持参)でシミュレーションすることで、時間配分の感覚が養われます。

目標は「90分以内に全問題を一通り解き終える」こと。残り15分を捨て問の再検討に充てられるペースを作ることが目標です。

頻出条文ランキングを把握する

法規の頻出条文を把握しておくことで、「見慣れない条文番号」の判断が速くなります。過去10年の出題頻度を分析した法規頻出条文ランキングを参考に、出題頻度の高い条文を優先的に学習しましょう。

まとめ

法規試験で捨て問の判断ができるかどうかは、合格を左右する重要なスキルです。

今回紹介した5つの基準を整理します。

# 基準 判断目安
1 見慣れない条文番号がある 過去問で見たことがなければ捨て問候補
2 計算問題で条件が3つ以上 ただし基本計算は絶対に捨てない
3 問題文読解に2分以上かかる 30秒で内容把握できなければ△マーク
4 法令集の引き箇所が即わからない 10秒でページがイメージできなければ△マーク
5 過去問にないパターン 新傾向問題は全受験生が解けない可能性が高い

そして「捨て問3ステップ」:

  1. 30秒で△マークをつけて次へ
  2. 残り15分で再挑戦
  3. ダメなら消去法で残った選択肢を選ぶ

容積率・建蔽率計算、防火区画、用途制限、採光計算は絶対に捨ててはいけません。これらを確実に得点した上で、難問・新傾向問題をうまく捨てることが高得点への道です。

社会人受験生は、学習時間が限られています。だからこそ「何を粘るか・何を捨てるか」の判断力が、独学合格の鍵になります。タイマーを使った過去問演習を今日から始めてみてください。

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この記事は2026年6月時点の情報をもとに執筆しています。試験の最新情報は、公益財団法人建築技術教育普及センターの公式サイトでご確認ください。

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