※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれています。
はじめに|「あの数値、何センチだったか」を毎回引いていませんか
階段の蹴上げは何センチ以下だったか。廊下の幅は1.6mか1.2mか。敷地内の通路は1.5mでよかったか。
実務でも試験でも、寸法規定は「覚えているつもりで、毎回引き直している」類の数値です。しかも条文が令21条・令23条・令119条・令128条とバラバラに置かれているため、一箇所で確認できません。
この記事では、建築基準法施行令の主要な寸法規定を一覧にまとめました。すべて条文の文言に沿って記載し、見落としやすい例外も併記しています。
居室の天井の高さ|令21条
建築基準法施行令 第21条(居室の天井の高さ)
居室の天井の高さは、二・一メートル以上でなければならない。
2 前項の天井の高さは、室の床面から測り、一室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、その平均の高さによるものとする。
押さえるべきは2点です。
- 2.1m以上(居室に限る。廊下や便所などの非居室には適用されない)
- 高さが一定でない場合は平均の高さで判定する
勾配天井やロフトのある部屋で問われるのは、この「平均の高さ」です。最低部が2.1mを下回っていても、平均で2.1m以上あれば適合します。
階段の寸法|令23条
もっとも問われるのがここです。用途と規模で4つに分かれます。
| 階段の種別 | 幅 | 蹴上げ | 踏面 |
|---|---|---|---|
| (一)小学校の児童用 | 140cm以上 | 16cm以下 | 26cm以上 |
| (二)中学校・高校・中等教育学校の生徒用 物販店舗(床面積合計1,500㎡超)・劇場・映画館・公会堂等の客用 |
140cm以上 | 18cm以下 | 26cm以上 |
| (三)直上階の居室の床面積合計が200㎡超の地上階 居室の床面積合計が100㎡超の地階・地下工作物内 |
120cm以上 | 20cm以下 | 24cm以上 |
| (四)上記以外 | 75cm以上 | 22cm以下 | 21cm以上 |
覚え方としては、「小学校がいちばん緩やか(蹴上げ16cm以下)で、下にいくほど急な階段が許される」と押さえると混乱しません。子どもが使う階段ほど、蹴上げを低く・踏面を広くする必要がある、という設計思想です。
ただし書きの3つの例外
条文には、表の後にただし書きがあります。ここが試験でも実務でも落としやすい部分です。
| 対象 | 緩和後の数値 |
|---|---|
| 屋外階段のうち、令120条・令121条による直通階段 | 幅 90cm以上でよい |
| その他の屋外階段 | 幅 60cm以上でよい |
| 住宅の階段(共同住宅の共用階段は除く) | 蹴上げ 23cm以下・踏面 15cm以上 |
住宅の階段が別扱いになっている点は要注意です。一戸建て住宅は表(四)ではなく、このただし書きの数値(蹴上げ23cm以下・踏面15cm以上)が適用できます。共同住宅の共用階段は除かれるので、マンションの共用階段は表(三)または(四)で判断します。
手すりがある場合の幅の算定(令23条3項)
階段に手すりや昇降を安全に行うための設備(高さ50cm以下のもの)が設けられている場合、手すり等の幅は10cmを限度として、ないものとみなして階段の幅を算定します。
つまり手すりが12cm出ていても、10cm分は無視して計算してよい、ということです。実務で階段幅がぎりぎりのとき効いてきます。
回り階段の踏面(令23条2項)
回り階段の踏面は、踏面の狭い方の端から30cmの位置で測ります。中心で測るのではありません。
踊場の位置と踏幅|令24条
| 階段の種別 | 踊場を設ける高さ |
|---|---|
| 令23条の表(一)(二)に該当する階段 | 高さ3m以内ごと |
| その他の階段 | 高さ4m以内ごと |
また、直階段の踊場の踏幅は1.2m以上としなければなりません。
階段の手すり|令25条
- 階段には手すりを設ける
- 階段および踊場の両側(手すりが設けられた側を除く)には側壁またはこれに代わるものを設ける
- 階段の幅が3mを超える場合は中間に手すりを設ける
- ただし、けあげ15cm以下かつ踏面30cm以上のものは不要
- これらは高さ1m以下の階段の部分には適用しない
最後の「高さ1m以下は適用外」は見落としやすい規定です。玄関前の数段程度であれば手すりの義務はかかりません。
廊下の幅|令119条
廊下の幅は、用途と両側に居室があるかどうかの組み合わせで決まります。
| 廊下の用途 | 両側に居室がある | その他 |
|---|---|---|
| 小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校の児童用または生徒用 | 2.3m | 1.8m |
| 病院の患者用 共同住宅の共用(住戸・住室の床面積合計が100㎡超の階) 居室の床面積合計が200㎡(地階は100㎡)超の階 |
1.6m | 1.2m |
学校の廊下が最も広く求められます。共同住宅は「100㎡超の階」、その他の用途は「200㎡超の階(地階は100㎡超)」という面積の線引きが異なる点に注意してください。
なお共同住宅について、条文は「三室以下の専用のものを除き」としています。3室以下が専用で使う廊下は対象外です。
敷地内の通路|令128条
建築基準法施行令 第128条(敷地内の通路)
敷地内には、令123条2項の屋外に設ける避難階段及び令125条1項の出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が一・五メートル(階数が三以下で延べ面積が二百平方メートル未満の建築物の敷地内にあつては、九十センチメートル)以上の通路を設けなければならない。
1.5m以上が原則ですが、階数3以下かつ延べ面積200㎡未満なら90cm以上で足ります。 この括弧書きの例外を落とすと、小規模建築物で過剰な通路幅を確保することになります。
条文の「道又は公園、広場その他の空地に通ずる」という部分も重要で、通路は敷地内で完結してはならず、道路等まで通じている必要があります。
試験での出題パターン
数値そのものを問うだけでなく、例外を絡めた引っかけが定番です。
| パターン | 例 |
|---|---|
| 用途を入れ替える | 「中学校の生徒用階段の蹴上げは16cm以下」→ 誤(16cmは小学校。中学校は18cm以下) |
| 住宅の例外を無視させる | 「一戸建て住宅の階段の蹴上げは22cm以下」→ ただし書きにより23cm以下とできる |
| 面積の基準を混同させる | 廊下の「共同住宅100㎡超」と「その他200㎡超」の取り違え |
| 括弧書きの例外を隠す | 「敷地内の通路は常に1.5m以上」→ 誤(小規模建築物は90cm以上) |
対策は単純で、数値と一緒に「どの用途・どの規模のときか」をセットで覚えることです。数値だけを暗記すると、用途を入れ替えられた瞬間に判断できなくなります。
実務・試験での引き方
寸法規定は条文が分散しているため、法令集での位置を体で覚えておくと速くなります。
- 令21条・令23条〜25条:第2章「一般構造」。居室や階段の基本的な寸法がここ
- 令119条:第5章「避難施設等」。廊下は避難の観点から規定されている
- 令128条:同じく第5章。敷地内の通路も避難のため
つまり「階段そのものの寸法は一般構造、廊下と通路は避難施設」という分かれ方です。この分類を知っておくと、探すページを間違えません。
法令集にインデックスを貼るなら、令23条(階段の表)と令119条(廊下の表)は独立したタブを立てる価値があります。どちらも表形式で、試験中に何度も戻ってくる条文です。
法令集の引き方そのものは法令集の書き込みルールにまとめています。書き込みには試験上の制限があるので、線引きを始める前に一度確認しておいてください。
まとめ
| 規定 | 条文 | 主な数値 |
|---|---|---|
| 居室の天井の高さ | 令21条 | 2.1m以上(平均の高さで判定) |
| 階段の蹴上げ・踏面・幅 | 令23条 | 用途・規模で4区分。住宅は蹴上げ23cm以下・踏面15cm以上 |
| 踊場の位置 | 令24条 | 高さ3mまたは4m以内ごと。直階段の踏幅1.2m以上 |
| 階段の手すり | 令25条 | 幅3m超は中間手すり。高さ1m以下の部分は適用外 |
| 廊下の幅 | 令119条 | 学校2.3/1.8m、その他1.6/1.2m |
| 敷地内の通路 | 令128条 | 1.5m以上(階数3以下かつ200㎡未満は90cm以上) |
数値そのものより、「どの用途・どの規模で切り替わるか」を押さえるほうが実戦的です。用途を入れ替えた選択肢は毎年のように出ますし、実務でも規模を取り違えると設計をやり直すことになります。
関連記事
- 法令集の書き込みルール|試験で認められる4つとNG例
- 防火・避難規定の総まとめ|令112条〜130条の区画と避難を一覧整理
- 居室の採光・換気計算を完全解説|建基法28条の数値と計算方法
- 建築基準法 頻出条文ランキング20
おすすめ教材
試験会場に持ち込める法令集3冊【令和8年度版】
寸法規定は条文を引いて確認する場面が多いため、索引と関連条文の参照が充実した法令集ほど作業が速くなります。
井上書院「建築関係法令集」
総合資格「建築関係法令集 法令編」
TAC出版「建築基準関係法令集」

